体内のメラトニンが増減する仕組み
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最終更新日:2014/06/12
睡眠に関する基礎知識
人がすっきり目覚めてスムーズに眠れる秘密
朝に光を浴びるとメラトニンが減ってすっきりと目覚め、夜暗くなってくるとメラトニンが増えて眠くなってきます。
では、メラトニンはどういう仕組みで増減しているのでしょうか?脳の中でメラトニンが生成されるしくみを知ると、昼間に元気に活動して夜にぐっすり寝ることができるカラクリがわかります。
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メラトニンとセロトニンは相互関係にある
メラトニンの話をするために、まずはセロトニンについて説明をします。
セロトニンは、トリプトファンという必須アミノ酸から生成される体内物質です。トリプトファンは肉や魚、豆類などに含まれており、朝食で食べた肉料理や魚料理、納豆からセロトニンがつくられます。
セロトニンには、脳の興奮を抑える作用があり、気持ちがイライラするのを抑えたり、突然のできごとに驚いたりしないようにする効果があります。つまり、起きている間に元気よく活発に過ごすのを手助けしてくれるのです。
周囲が暗くなってくると、一日十分に作用したセロトニンはN-アセチルセロトニンに変化したあと、メラトニンになります。
つまり、メラトニンとセラトニンの分泌量は逆のリズムを刻んでいるのです。つまり、朝にメラトニンが減るとセロトニンが増え、使い切ったセロトニンは夜にメラトニンになるのです。
これはメラトニンとセロトニンの分泌量のグラフです。上がメラトニン、下がメラトニンの分泌量を示しており、相関関係があることがわかってもらえると思います。
睡眠不足になるとセロトニンの量が減る
セラトニンやメラトニンの原料となるトリプトファンは、そのままでは脳に取り込まれません。トリプトファンはアルブミンという物質と結合しており、インスリンによって分離することでようやく脳に取り込まれ、セロトニンに変化させられるようになります。
ところが、睡眠が不足すると、体内のインスリンの量が減少してしまいます。そのため、いくら食事をしっかりとってトリプトファンを摂取していても、睡眠を減らすとセロトニンが生成されず、結果的にメラトニンのリズムも狂うことになるのです。
朝にしっかり日光を浴びてメラトニンを減らすことで、自然とセロトニンが分泌されるようになり、それにともなって夜にはメラトニンの分泌量が増えることになります。そうすると夜にはぐっすり眠れるようになり、体内のインスリンが増えてトリプトファンを十分に脳に取り込むことができ…といった具合に、好循環を生むことができます。
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