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なぜ人は眠くなる?睡眠のメカニズム

公開日: : 睡眠に関する基礎知識

medium_7988862191photo credit: ‘Ajnagraphy’ via photopin cc

睡眠物質の蓄積が眠気を誘う

人はなぜ寝ないでいるとだんだん眠くなるのでしょうか? 睡眠不足になるとそれを補おうとして眠くなることは、誰でも直感的に理解しています。長時間覚醒して疲労した分は寝ないと回復できない、ということを感じているからこそ、無駄に夜更かししようとせず、できるだけ夜には眠るようにしているはずです。

では、もし眠らないでいるとどうなるのでしょうか。実は、その手の実験は昔からさかんに行われています。19世紀のロシアでは、犬を無理やり覚醒させ続けたところ、約100時間で死亡してしまったという実験結果が残っています。ラットでも同様の実験が行われましたが、平均2週間程度で死に至ったと報告されています。動物は眠らないでいると身体の機能が変化し、最終的に死んでしまうのです。

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人間は眠らないとどうなる

人間の場合も断眠実験は行われていました。1960年代には断眠チャレンジでアメリカの学生が11日間起きていた記録がありますが、実際には覚醒度が大きく低下しており、完全な断眠ではなかったとされています。事実、他の実験では1日半程度眠らないでいると脳波がうとうとしているときと同じ様子を示し、目を開けながらまどろんでいるのと同じ状態になったと判断されています。

睡眠不足に関する実験では、睡眠時間を半分にすると血圧が上昇したり、血糖値が乱れることがわかっています。また、睡眠不足が短くなると食欲が増進することも報告されています。

眠気の原因の一つは睡眠物質にある

睡眠不足によって身体の状態が変化することから、眠気の理由は何か物質的な作用によるのではないか、という考えが広がりました。長時間覚醒することにより、脳に疲労物質のようなものが蓄積し、この影響を無くすために脳が休養しようとして眠気が発生するのではないか、というアイデアです。

後にその考えは実験で解明されました。長い間眠らせないでおいた犬の脳脊髄液を他の犬の脳内に注射すると、その犬がすぐに眠ってしまうことがわかったのです。これにより、ずっと覚醒していると脳内に睡眠物質がたまっていき、これが眠気の原因となることが推測されました。

その睡眠物質がどんな物質なのかはしばらく明らかになりませんでしたが、研究の結果プロスタグランジンD2が強い睡眠作用を持つことが証明されました。

プロスタグランジンD2の睡眠作用のしくみ

人間は起きていれば起きているほど脳脊髄液の中にプロスタグランジンD2が増えていきます。睡眠物質の増加は脳膜にある受容体により検知されます。この受容体は眉間の奥のほうにあり、アデノシン神経系を経由して脳の睡眠をつかさどる視床下部に伝わります。つまり、睡眠物質が直接眠気を引き起こすのではなく、長時間起きていることを示す役割を果たしているのです。

視床下部にはGABA神経系があり、GABA神経系が活発になるとヒスタミン覚醒系を抑制するため眠くなります。

まとめると、

睡眠物質蓄積の情報→アデノシン神経系を経由する→視床下部に伝わる→GABA神経系が活発化→ヒスタミン覚醒系抑制→眠気が発生

というメカニズムになります。

睡眠メカニズムに関わる物質

睡眠物質が眠気となるまでのメカニズムに関わってくる物質があります。例えば、コーヒーやお茶などに含まれるカフェインがそうです。カフェインはアデノシン神経系を抑制するため、睡眠物質の蓄積情報が視床下部まで伝わりません。そのため眠気がなくなったような感覚になるのです。

>>コーヒーで眠気を覚ますのがクセになるのは危ない?

アルコールも睡眠に関わります。視床下部のGABA神経系が働くと眠気が発生しますが、アルコールもGABA神経系と似た作用を持つので、アルコールを飲むと眠くなります。

さらに、風邪薬などの抗ヒスタミン薬も眠気に関わります。抗ヒスタミン薬はヒスタミン覚醒系の働きをダイレクトに抑えるので、強い眠気が起こります。

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